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世界的な気候変動や自然資源の減少といった課題が浮き彫りとなる中で、持続可能な建築という概念がますます注目を集めています。そんな中、「グリーンビルディング」という新しい建築基準をご存じでしょうか?
グリーンビルディング(Green Building)は、環境に配慮した建築の設計・建設・運営の実現を指す用語で、エネルギーや水、空調設備などにより環境性能の高い建物を指します。
主な特徴は「再生可能エネルギーの利用」「エネルギー効率の向上」「廃棄物削減」「環境に配慮した建材の使用」などです。太陽光パネルや風力発電機を組み込むことで、建物自体がエネルギーを生み出し、そのエネルギーを利用することで、低コストの運営を実現できます。
日本語では「環境配慮型建物」「環境に優しい建物」などと訳されます。また英語では「サステナブル・ビルディング」や「ハイパフォーマンス・ビルディング」「グリーン・アーキテクチャー」などとも言われています。
世界グリーンビルディング協会の調査によると、建物からの二酸化炭素排出量は総排出量の30%を占め、世界の飲料水の14%を消費しています。そこで、低炭素社会を実現する二酸化炭素排出量や水使用量の少ないグリーンビルディングが注目されています。
最近では、グリーンビルディングには、環境性能だけでなく、建材の持続可能性や人々の健康やウェルビーイングへの配慮も同時に追求する動きが出てきています。
グリーンビルディング建築にははっきりとした国際基準はまだなく、各国ごとに評価基準を設けて、品質の管理を行っています。
日本では、2001年からCASBEE(建築環境総合性能評価システム)という評価基準で、判断されています。省エネや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建築物の品質を総合的に評価するシステムです。
アメリカでは、「LEED」という認定制度があり、米国グリーンビルディング協会の調査によると、LEED認証を取得したグリーンビルディングは、二酸化炭素排出量が34%、エネルギー使用量が25%、そして水使用量が平均11%の少ないと報告しています。経済効果にすると、2015年から2018年の間に、エネルギー12億米ドル、水1.5億米ドル、メンテナンス費用7,000万米ドル、廃棄物処理費用5,000万米ドルの節約が見込まれています。
この調査によると、グリーンビルディングの不動産評価価値は平均で4%高く、また、エネルギー費用やメンテナンス費用を節約できることから投資回収が早く、一般的には投資回収期間は7年と言われています。
世界のグリーンビルディング市場は、2013年に2,600米億ドルに成長。その約20%が米国における新築商業用ビルだと推計されています。また今後2023年までに商業用ビルの所有者や管理者が既存建物の環境負荷低減に向け9,600億ドルの投資をすることが見込まれています。主な改修内容は「省エネ暖房システム」「換気」「空調」「窓」「照明」「配管設備」等です。
数年前の調査では、2013年から2015年の間に商業用グリーンビルディング建設計画を立てていた建設会社は全体の63%。また、同期間のグリーンビルディング型公共施設の建設計画では45%、グリーンビルディング型リノベーションプロジェクト建設計画では50%に達していました。
グリーンビルディングの雇用創出効果は、米国で2018年までに雇用110万人と756億米ドルの賃金創出に貢献しています。また、米国のグリーンビルディング市場は、近年3000億ドル以上のGDP押し上げ効果があると言われています。
持続可能な未来を築くための重要なこの取り組みには、より高い意識を持っての環境への配慮や、資源の効率利用が求められており、今後、より議論が活発になるでしょう。また、企業の設備投資や経済効果を生むためには、このプロジェクトにおける業務のDX化はなくてはならないプロセスです。
次回は実際の建築におけるZEB・ZEHの現状、グリーンビルディングによってもたらされるウェルビーイングについてDX化の情報も交えてお伝えします。